サーモン養殖事業

世界的な人口増加や生活水準の向上を背景に、欧州、米国、アジアなどの世界市場において水産物の需要は増加しており、生食用サーモンの需要も年々伸びています。一方で、これに対する供給は追い付いていません。特にアジアのサーモンの需要に応えるだけの養殖量を生産できる地域は、同じアジアにおいては皆無でした。

私たちのサーモン養殖事業は、グループ会社である株式会社オカムラ食品工業が、2005年にデンマークにおいて生食用サーモンの生産から始まりました。サーモン類は海水温が高いアジアでは夏季の海面養殖が難しく、これまで養殖サーモンの大半が北欧や南米等の寒冷地から輸入されてきましたが、デンマークでの養殖事業経験から青森県の環境が北欧のそれと非常に似ていることから、サーモンの育成が可能であると考えました。世界遺産白神山地から流れ出る清らかな淡水、津軽海峡の速い潮の流れを有する青森県の日本海には、むしろ日本ならではの高品質なサーモンの育成、アジアの国々に近い地域から鮮度の高いサーモンを輸出できる可能性が広がっていました。

2014年に開始した深浦町、弘前大学食料科学研究所、株式会社オカムラ食品工業の産学官連携によるサーモン養殖実証事業を経て、2017年には青森県深浦町と今別町で初のサーモン水揚げを実現。さらなる品質の向上と世界へ安定供給を目指し、日本サーモンファーム㈱を設立しました。

私たちは、今後も伸長する世界の水産物需要を支えるための持続可能な水産物生産技術を確立し、世界中で日本の美味しい魚が食べられるよう、事業に取り組んでいきます。

青森サーモン®について

私たちは青森の海で「青森サーモン®」を育てています。

青森サーモン®が育つ日本海海域は、世界遺産「白神山地」から流れ出すミネラル豊富な水と、日本海を北上する対馬海流が混じり合い、さらに津軽海峡の激しい流れの中で、年間を通して様々な魚介類が水揚げされる「豊穣の海」です。冷たく厳しい北の海で育った青森サーモン®は身がしまり、脂ののりもよく、味の良さは格別です。

養殖場について

私たちはグループ会社である(株)オカムラ食品工業とともに、青森県内に3ヶ所の中間養殖場と3カ所の海面養殖場で「青森サーモン®」を育てています。今別・三厩海面養殖場は、日本で初めてASCサケ基準の認証を取得しました。環境に負荷をかけることなく大規模サーモン養殖産業を実現することで、地元での雇用拡大、付随産業への波及効果がなされることで、地域経済の活性化を目指します。

深浦中間養殖場

大峰中間養殖場・白神中間養殖場

青森県深浦町には深浦大峰中間養殖場と深浦白神中間養殖場の2つの中間養殖場があります。ふ化したサーモンの稚魚を育成する大規模中間育成場で、世界遺産白神山地から流れ出る大峰川流域に位置します。

1993年に世界自然遺産に登録された白神山地は、秋田県北西部と青森県南西部にまたがる約13万haに及ぶ広大な山地帯の総称です。ここには多種多様な動植物によって貴重な生態系を育む世界最大級の原生的なブナ林が分布しています。天然のダムと言われるほど保水力に優れたこのブナの森こそが、私たちの中間養殖場に必要な水の源です。

今別中間養殖場

青森県今別町に2021年に誕生した中間養殖場は、場内で水を循環して活用する環境にやさしい循環型養殖場です。今別・三厩海面養殖場からもほど近く、輸送面でも環境に配慮しています。現在はまだ予定の1/6程度の規模ですが、将来は日本最大級の中間養殖場を目指しています。

深浦海面養殖場

深浦海面養殖場・深浦北金ヶ沢海面養殖場

卵から稚魚へと元気に育った青森サーモン®は、青森県の海域の特徴を活かし、3つの町の海面養殖場で成長します。その中でも深浦町には2つの海面養殖場があります。深浦町は青森県西津軽郡に位置する日本海に面した町で、かつて北前船の風待ち湊として栄え、大阪や京都などからの文化導入の表玄関として発展しました。現在も世界自然遺産白神山地と日本海に囲まれ、西に広がる夕陽が美しい海岸線や、青池に代表される十二湖など、豊かな自然が魅力的な町です。

今別・三厩海面養殖場

今別町と外ヶ浜町三厩地区は青森県東津軽郡の北部に位置し、有名な津軽海峡に面した町です。津軽海峡の潮流の影響を受け、夏季は、オホーツク海の冷気を含んだ偏東風(やませ)が吹くため涼しく、美しい海岸線は津軽国定公園に指定されています。津軽海峡の激しい海流の中で「青森サーモン®」は元気に育ちます。